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病院・クリニックの受付では、会計の混雑やスタッフへの負担が慢性化しやすく、運営面の課題として挙がりやすいです。
近年は、人手不足や感染対策、キャッシュレス対応への要望も重なり、自動精算機の導入を検討する医療機関が増えています。
本記事では、病院・クリニックが自動精算機を導入するメリットを中心に、デメリット・費用相場・選び方のポイントを整理し、導入判断に役立つポイントを解説します。
病院・クリニックで自動精算機の導入が進む理由

病院・クリニックでは、受付や会計の負担が増えてきたことをきっかけに、自動精算機を導入するケースが増えています。
高齢化や外来患者数の増加により、受付や会計業務は日常的に忙しくなりやすく、特定の時間帯に負担が集中しがちです。
一方、医療現場では人手不足が続いており、会計専任のスタッフを十分に配置できないケースも少なくありません。
さらに、コロナ禍以降は現金の受け渡しを避けたいという意識が広がり、非接触やキャッシュレス決済へのニーズも高まっています。
加えて、レセコンや電子カルテの普及により、精算機との連携がしやすくなった点も、導入を決めるきっかけとなっています。
決算時期を見据えた導入ニーズが高まっている
病院・クリニックでは、決算時期に合わせて自動精算機の導入を検討する傾向があります。
年末頃になると決算の見通しが立ちやすく、設備投資や節税対策の一環として、3月や9月までの導入を希望するケースも見受けられます。
その結果、決算前は申込みが集中しやすく、希望する稼働時期に対応できない場合もあります。
運用開始の時期が決まっている場合は、余裕を持って計画することが望ましいです。
病院・クリニックに自動精算機を導入するメリット

受付や会計業務の負担が大きくなりやすい病院・クリニックでは、自動精算機の導入によって運用面の改善が見込めます。
ここでは、病院・クリニックに自動精算機を導入するメリットをご紹介します。
会計業務の負担が減る
自動精算機を導入すると、会計金額の表示・支払い・領収書の発行までを機械で一括して行うようになります。
受付スタッフが担っていた精算作業が減り、紙幣や硬貨を数える手間やレジ締めにかかる時間も短縮されます。
常にレジ前に人を配置する必要が無くなるため、人員やシフトが変わっても会計業務を安定して運用しやすいです。
引き継ぎ時の金銭管理に不安を感じにくくなり、スタッフは接遇の改善や患者対応に集中しやすくなります。
患者の待ち時間が短縮される
自動精算機を使えば、混雑しやすい時間帯でも複数の患者さんが同時に会計を進められるようになります。
対面会計に列ができにくくなり、待合スペースの混雑が緩和される点も特徴です。
院内の動線が整い、全体の流れもスムーズになります。
再診患者が多い病院・クリニックでは、操作に慣れた患者さんが短時間で精算を終えられるため、待ち時間短縮の効果を実感しやすくなるでしょう。
金銭授受のミスやトラブルが減る
自動精算機では、釣銭の計算や払い出しを機器が正確に行うため、数え間違いや渡し間違いといったヒューマンエラーを防げます。
「請求額と支払額が合わない」といった問題が生じにくくなり、患者さんとの金銭トラブルの防止にもつながります。
会計内容は全て記録として残るため、日々の確認や管理も容易です。
人員の入れ替わりがあっても、金銭管理の精度を一定に保ちやすく、運営面でのリスクを抑えられます。
感染対策につながる
自動精算機を導入すると、現金の受け渡しや対面でのやり取りが減り、患者さんとスタッフの接触機会を抑えられます。
紙幣や硬貨に触れる回数が少なくなることで、院内の衛生管理にかかる負担も軽減されます。
感染対策を追加対応として行うのではなく、日常の会計業務に組み込んだ形で運用しやすくなります。
病院・クリニックに自動精算機を導入するデメリット
自動精算機の導入を検討する際には、初期費用や設置環境など、事前に検討が必要な点もいくつかあります。
ここでは、病院・クリニックに自動精算機を導入するデメリットをご紹介します。
初期費用や運用コストがかかる
自動精算機を導入する際には、本体価格に加えて設置費用がかかります。
機種や構成によって金額は異なりますが、導入時に一定の初期費用が必要になる点は、事前に把握しておきたいポイントです。
導入後も、保守・メンテナンス費用が毎月発生するほか、キャッシュレス決済を利用する場合は決済手数料が運用コストとして加わります。
一方で、補助金を活用できるケースもあるため、条件を確認することで初期負担を抑えられる可能性があります。
自動精算機の設置スペースが必要
自動精算機を設置するためには、本体を置くためのスペースの確保が必要です。
患者さんが画面を見やすく、操作しやすい位置に設置するには、受付や待合室の動線を考えた調整が求められます。
そのため、待合室や受付周辺のレイアウトを見直すケースもあります。
院内スペースに余裕がない場合は、省スペース型の自動精算機を選ぶことで対応しやすくなります。
トラブル時の対応が必要
自動精算機を運用する中で、一定のトラブル対応が必要になる場面もあります。
導入当初は特に、操作に慣れていない患者さんや高齢の方は画面操作に戸惑い、スタッフのフォローが求められることがあります。
また、釣銭切れや紙詰まりといったトラブルを防ぐためには、定期的なメンテナンスや確認も必要です。
サポート費に年に1回程度の定期点検が含まれているケースもあります。
トラブルが生じたときのことを想定して、導入前にメーカーのサポート体制や対応範囲を確認しておくことが重要です。
病院・クリニック向けの自動精算機の費用相場

病院・クリニック向けの自動精算機は、本体価格として200万〜400万円前後が中心的な価格帯とされています。
実際の導入金額は、選択する機種の仕様や機能によって変わります。
例えば、キャッシュレス決済端末の追加や、レセコン・電子カルテとの連携設定を行う場合は、別途費用が発生します。
また、設置環境によっては電源工事やLAN配線工事が必要になることもあります。
導入後は、保守や点検のために月額2〜5万円程度のランニングコストが発生するのが一般的です。
病院・クリニック向けの自動精算機の選び方のポイント

自動精算機の導入効果を高めるためには、自院の業務フローや患者層に合った機種選定が欠かせません。
ここでは、病院・クリニック向けの自動精算機の選び方のポイントをご紹介します。
レセコン・電子カルテと連携できる
自動精算機を選ぶ際は、現在使用しているレセコンや電子カルテと問題無く連携できるかを確認するようにしましょう。
会計金額が自動で反映されることで、入力ミスや引き継ぎの負担を抑えやすくなります。
また、将来的にレセコンや電子カルテを入れ替える可能性も視野に入れておきたいところです。
電子カルテやレセコンとの連携の変更は、マイナーな設定変更でスムーズに行えるケースと、多少のカスタマイズ開発が必要なケースもあります。
長期的な運用に対応できるようなメーカーを選ぶこともポイントです。
循環式・非循環式の違いに注目する
循環式と非循環式では、現金の扱い方に違いがあります。
循環式は、紙幣や硬貨を機械内部で選別・保管し、そのままお釣りとして再利用する方式です。
非循環式は、紙幣や硬貨を売上金として格納し、お釣りは事前に用意した釣銭用カセットから払い出します。
循環式は準備金が少なくて済むことから、締め作業の負担が軽減されやすい点が特徴です。
紙幣・硬貨の保有量に余裕がある機種ほど、釣銭補充や回収作業の手間を抑えやすくなります。
一方で、非循環式は構造がシンプルなので扱いやすくトラブルも少ない傾向があります。
また、千円札をまとめて投入できるか、1円玉や5円玉に対応しているかも確認しておきたいポイントです。
物販がある診療科では、対応可否が日常の会計業務に影響します。
十分な設置スペースを確保できる
自動精算機は、機器本体のサイズだけでなく、患者さんの動線を含めて設置場所を検討することが重要です。
操作中は人が立ち止まるため、受付や待合室の通路を妨げない配置が望ましいです。
また、電源やLAN配線の位置によっては、追加工事が必要になる場合もあります。
設置スペースに制約がある場合は、省スペース型や卓上型の選択肢を含めて検討すると、運用しやすくなります。
キャッシュレス決済は必要な種類を見極める
キャッシュレス決済は患者の利便性向上につながりますが、病院・クリニック側では手数料の負担も考慮する必要があります。
対応する決済方法が多いほど選択肢は広がりますが、必ずしも全てを導入する必要はありません。
クレジットカードのみ、または電子マネーを組み合わせるなど、現場のニーズと手数料のバランスを考慮しながら検討されるケースが多く見られます。
決済代行会社の条件や使い勝手を比較し、自院の希望に沿う会社を選択してください。
アフターフォローが充実している
自動精算機は日常的に使用する機器のため、トラブル時のサポート体制は事前に確認したい点です。
電話対応だけでなく、リモート対応や現地訪問まで対応範囲を把握しておくと安心です。
土日診療を行っている場合は、休日対応の有無も運用に影響します。
導入直後の立ち会いや、分かりやすいマニュアルが用意されているかも確認しておくと、スムーズに運用を始めやすくなります。
まとめ
病院・クリニックにおける自動精算機の導入は、業務効率の向上だけでなく、患者対応や院内運営の質にも影響します。
待ち時間の短縮や金銭授受のトラブル防止といったメリットがある一方で、初期費用や設置環境、サポート体制の確認も欠かせません。
自院の課題や患者層、将来の運用を見据えながら運用をイメージすることで、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。
中長期の運営を見据えた機器選びにお役立ていただければ幸いです。
